背景色変更
ページ読み上げ

指宿_神話紙芝居_日当山シュジュ話(2)

更新日 2020年04月16日

日当山シュジュ話(2)

シュジュが、殿様のところに、たまたま行きおったらですネ。

狩猟侍期だったらしいですよネ。〔殿様が〕「シュジュ、良かとこい来た。

鴨を---空を飛ぶ鴨---とったから食べないか」と。そしたら、〔椀についで出された〕鴨はですネ、全部、桜島大根〔ばっかし〕だったらしいですヨ。 鴨〔の肉〕はーつもなかったちゅうわけですよネ。「こら、おいしいもんだ」と。

〔それから〕そイ(それを)食べたところがですネ。 「殿様、殿様、あすこ、隼人のツッの原にですネ、鴨が沢山おるから、〔射ちに〕行きましょうか?」チ、言うたチ。

そしたところが、 「よし、今夜〔は、ここに〕泊まれ」チ。〔その夜は〕殿様のうちに泊まってですネ。

明くる朝、夜が明ける頃ですネ、馬に乗って、 みんな〔を〕畑に連れて行ったらしいですヨ。「みんな、鉄砲を持って、準備しなさい」と。そしたところが、「どこに鴨がおイか?」 ちゅうたらですネ。桜島大根がずっとくぐってあったらしいですョ。「殿様、今んうち〔に〕帽たんナ」チ、言うたらしいですョ。

そしたら、「あれは、桜島大根じゃないか」チ。「わや(お前は)、あんた(あれは)、大根じゃらはら」ちゅうたら、 「殿様は、そしたら、あたい(私)が〔殿様のうちへ〕来た(行った)時ナ、こいバ、鳴じゃチ、食べさせたじゃないか」と。

「私は、やっぱい、〔これが〕鳴かチ思じょった」チ。

〔話者 宮之前 新星清光(昭和七年三月生)〕