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山川_神話紙芝居_竹山の天狗

更新日 2016年02月19日

竹山の天狗

竹山には甘から天狗が住んでいて、いろいろと不思議なことがあったという。

1 明神丸の話

江戸時代、島津藩の御用船明神丸が、竹山の左の「とびの口」という峰の下にいかりを降ろしたところ、 竹山から玉のようなーかたまりの火が飛んできた。何事だろうと思っていると、どこから来たのか、 帆柱の上に一人の大男が手にちょうちんのようなものを持ってうずくまっていた。船の人たちはびっくりして、 争って船倉に飛び降り隠れたが、不意に豆粒のようなものがほおへ当たったかと思うと、皆は気を失い、ばたばた倒れてしまった。 あとで見ると、帆柱の根元から三メートルばかりのところが大風で吹き倒されたようにねじ折れていたという。

2 漁船の話

ある夜、四~五人の者が漁船に乗り込んで竹山仲へこぎ出ていた。夜明けごろ雨が降ってきて、雷さえ鳴りはじめた。 急いで帰ろうとして、ふと竹山の方を見ると、星のような光が見えた。 「もう夜明けの明星が出たのだろうか」とか「いや、あれは世の常の火ではない、不思議なことだ」と話し合いっていると、 その火はだんだん大きくなり、ものすごい音を立てて竹山の方へ飛び去ったかと思うと、竹山ととびの口の二つの山が一面燃えるように見えた。 すっかり恐ろしくなり、急いでこぎ帰ったという。

3 天狗の遊興

ある時、鹿児島の人が児ケ水温泉に来ていた。梅雨時で、この辺りの浜には海亀が産卵に上がっていた。 その人は朝早く浜に出て亀の卵を拾っているうちに、竹山の下まで来てしまっていた。ところが、 耳元で小さく絶え間なくホラ貝を吹き鳴らすような音が聞こえ、手で払いのけようとしたがいっこうにやむ気配もない。 恐しくなった男は、いっさんに児ヶ水へ逃げ帰ったが、温泉場のところへ着くとそのまま気絶してしまった。 同じころの話で、児ケ水に住んでいた郷土が、同じ浦の友人と二人で山川の麓に行き、夜更けにさんざん酔って帰途についた。 千鳥足で小唄や浄瑠璃などを口ずさみながら竹山の下まで来ると、どこから出たのか六メートルばかりの大山伏が仁王立ちに立ちふさがり、 にらみつけていた。右手に木瓜の紋をつけたちょうもんを持っていたが、その腕は松を横たえたような太さで、錐のような黒 毛がいっぱい生えていた。二人はそれまでの元気はどこへやら、わなわな震えながら、大山伏のちょうちんの下をねずみのよ うにチョロチョロすり抜けて逃げ帰ったと

4 鳥に助けられた舟

竹山神社の縁日には、大勢の参詣人があった。ところが道は岩だらけで、年寄りや子供は苦労した。そこで、登りやすい参道 を作ることになった。 児ケ水の人たちは舟で来た方がいいので、浦の役員さんはじめ一隻の舟に乗ってこぎ出した。ところが、しばらくするといき なり北風が吹き始め、舟は南の方へ流され、ろもかいも役立たなくなってしまった。 そのとき竹山の頂上に一羽のトビが止まっていたが、たちまちのうちにー・五メートルあまりの白鳥になったかと思うと、矢のように 早く飛んで来て、漂流している舟を山川麓の波打ち際から二〇メートルばかり先の、松山の下まで引き揚げてしまった。舟の中の者は驚いて、 夢中で山川麓へ走って行き、人々に話した。 陸地に引き揚げられた舟を海に浮かべてみたら、どこも傷んではいなかった。この不思議は、天狗のしわざに違いないと人々は語り合った。