○指宿市温泉資源の保護及び地熱発電に関する条例
令和4年12月23日
条例第21号
指宿市温泉資源の保護及び利用に関する条例(平成27年指宿市条例第10号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この条例は,温泉資源は市及び市民の共有資源であるという認識の下,市内における温泉資源を利用した発電事業の実施に関する手続を定め,温泉資源を保護するとともに,温泉資源の将来にわたる持続可能な活用,地域の活性化,自然環境の保全及び公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(法令等の遵守)
第2条 市内において,温泉資源を利用しようとする者は,温泉法(昭和23年法律第125号)及び事業実施のために必要とされる法令(市の条例,規則その他の規程を含む。)(以下「関係法令等」という。)によるもののほか,この条例に従わなければならない。
(1) 温泉 温泉法第2条第1項に規定する温泉をいう。
(2) 温泉源 温泉法第2条第2項に規定する温泉源をいう。
(3) 温泉資源 温泉及び温泉源並びに深部の地熱資源を含んだものをいう。
(4) 発電事業者 温泉資源を利用して地熱発電を行う者をいう。
ア 温泉を公共の浴用又は飲用に利用する者
イ 温泉を配湯業,農業又は養殖業で利用する者
(6) 発電事業 既存の温泉井を利用又は温泉を新たに掘削,替掘若しくは増掘して行う地熱発電事業をいう。
(7) 発電事業関連工事 温泉資源を利用して発電する事業のために行う伐採,土地造成,掘削等の工事をいう。
(8) 温泉資源賦存状況調査等 温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)(改訂)(平成29年10月環境省自然環境局策定)中第三の2に定める地熱開発のための調査及びこれに準ずるものをいう。
(9) 対象事業 発電事業,温泉資源賦存状況調査等又は発電後に生じる蒸気,熱水等を活用した事業をいう。
(10) 事業計画 対象事業に関し,市長が別に定める様式に必要事項を記載した計画をいう。
(11) 暴力団関係法人等 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する団体をいう。以下同じ。)又は暴力団関係者(暴力団の構成員若しくは暴力団に協力し,関与する等これと関りを持つ者又は集団的若しくは常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがある組織の関係者であるとして,警察等捜査機関から通報があったもの若しくは警察等捜査機関が確認したものをいう。)が経営若しくは運営に実質的に関与していると認められる法人,組合等をいう。
(市の責務)
第4条 市は,第1条に規定する目的を達成するため,国県等と緊密な連携を図り,発電事業者に関係法令等を遵守するよう,指導,助言,勧告その他の必要な措置を講ずる責務を負う。
(発電事業者の責務)
第5条 発電事業者は,第1条に規定する目的を達成するため,次に掲げる責務を負う。
(1) 対象事業に関する科学的情報を可能な限り,市,地域住民,温泉利用事業者その他関係者に対して示すとともに,理解を得るために必要な説明等を積極的に行うこと。
(2) 発電事業の実施又は発電設備の管理に当たっては,関係法令等を遵守し,温泉資源並びに指宿市環境保全条例(平成18年指宿市条例第111号)第2条に規定する良好な環境及び自然環境(以下「良好な環境等」という。)に対して支障を来すことがないようモニタリング等自らの責任及び負担において必要な措置を講ずること。
(3) 発電事業者が温泉を湧出させることなく,温泉資源を利用した発電を行うときは,進捗状況に応じて市長に報告すること。
(4) 温泉資源の恵みを市民が享受できるよう努めること。
(5) 発電事業の実施又は発電設備の管理を適正に行うとともに,事故及び公害等の防止に努めること。
(6) 事故,公害等及び災害が発生したときは,適切に対応し,再発防止の措置を講ずること。
2 発電事業者は,対象事業を実施するに当たっては,市,地域住民,温泉利用事業者その他関係者に対して,事業計画の内容及び進捗状況を説明し,理解を得られるよう努めなければならない。
(温泉利用事業者の責務)
第6条 温泉利用事業者は,第1条に規定する目的を達成するため,次に掲げる責務を負う。
(1) 自らの事業活動によって,温泉資源又は良好な環境等に対して支障を来すことがないよう自らの責任及び負担において必要な措置を講ずること。
(2) 温泉資源の保護に資するため,自らが所有する温泉の状況等を把握するモニタリングに努めること。
(事前協議)
第7条 発電事業者は,対象事業を実施するに当たっては,事業計画を提出する前に,あらかじめ市長と協議(以下「事前協議」という。)しなければならない。
2 市長は,事前協議の申出があったときは,発電事業の実施に関する手続その他必要な事項を発電事業者に通知するものとする。
(1) 発電事業者が温泉資源賦存状況調査等を行う場合 当該調査(既存資料調査を除く。)を実施しようとする日の90日前
(2) 発電事業者が発電事業関連工事を行う場合で,発電事業関連工事に係る関係法令等に基づく各種申請又は届出が不要なとき 当該発電事業関連工事に着手する90日前
(3) 発電事業者が発電事業関連工事を行う場合で,発電事業関連工事に係る関係法令等に基づく各種申請又は届出が必要なとき 当該各種申請や届出を行う90日前
(4) 発電事業者が発電事業関連工事を行わない場合 当該発電設備等の設計に入る90日前
(5) 発電事業者が温泉法第3条又は第11条の規定により鹿児島県知事への申請を行う場合(発電事業の開始後に実施する掘削等で発電出力の増加を伴わないものを除く。) 当該申請を行おうとする日の90日前
(6) 発電事業者が発電設備の設置を行う場合 当該設置工事を行おうとする日の90日前
(7) 発電事業者が関係法令等に基づく手続に関して,市長の同意等を必要とする場合 当該手続を行う90日前
2 市長は,同意の可否に関し審議するため,前項の事業計画を提出した発電事業者に対し,必要と認められる情報を文書により提出することを求め,又は当該発電事業者の同意を得て現地調査を実施することができるものとする。
3 市長は,第1項の事業計画を受理したときは,指宿市地熱発電に関する審議会(以下「審議会」という。)に意見を求めるものとする。
4 市長は,審議会の意見を参酌して同意の可否について決定し,同意の決定をした場合は,必要な条件を付すことができる。
5 発電事業者は,前項の条件を事業計画に反映させなければならない。
(事業計画の変更の同意)
第9条 発電事業者は,前条第1項の同意を得た後,事業計画の内容に著しい変更が生じる場合は,当該変更を行おうとする日の90日前までに変更後の事業計画(以下「変更事業計画」という。)を市長に提出し,あらかじめ市長の同意を得なければならない。
(1) 発電事業者が,暴力団関係法人等であるとき。
(2) 対象事業が,温泉資源又は良好な環境等に及ぼす影響に対し適切な措置を講じた上で実施されるものでないとき。
(3) 対象事業が,適切な土地利用及び景観との調和に配慮して実施されるものでないとき。
(4) 前3号に掲げるもののほか,対象事業が実施されることにより公益を害するおそれがあるとき。
(1) 第8条第1項各号に係る同意 発電事業者が暴力団関係法人等であることが判明したとき。
(3) 第8条第1項第5号に係る同意 発電事業者に係る温泉法第5条第1項に規定する有効期間が経過したとき又は同法第9条第1項の規定により許可が取り消されたとき。
(意見の具申)
第12条 市長は,発電事業に関し,温泉の保護及び利用の適正を図るため,必要に応じ,鹿児島県知事に対し意見を具申するものとする。
(協定の締結)
第13条 市長は,発電事業者に対し,温泉資源の保護及び利用の適正を図るため,発電事業に伴う環境保全に関する協定(以下「協定」という。)の締結を求めることができる。
2 協定の内容は,次に掲げる事項とする。
(1) 温泉資源の適切な保護及び適正な利用に資する調査並びに報告に関する事項
(2) 良好な環境等の保全に関する事項
3 発電事業者は,第1項の規定により市長から協定の締結を求められたときは,当該協定を締結しなければならない。ただし,既に地熱発電事業に伴う環境保全に関する協定又は同様の趣旨をその内容とする市長が認めるものを市との間で締結している場合は,この限りでない。
2 同意を得た発電事業者は,発電事業者の変更その他の規則で定める変更があったときは,規則で定めるところにより市長に届け出るものとする。
3 同意を得た発電事業者から発電設備に係る権利を譲渡された発電事業者は,譲渡した発電事業者に係る本条例における地位を承継するものとする。
4 同意を得た発電事業者は,発電設備を廃止しようとするときは,規則で定めるところにより市長に届け出るものとする。この場合において,当該発電事業者は,近隣の生活環境及び温泉資源並びに良好な環境等に配慮して当該発電設備の撤去又は廃棄を行わなければならない。
2 発電事業者は,文書提出又は現地調査を求められたときは,これに応じなければならない。
(事故発生時の措置等)
第16条 発電事業者は,次に掲げる事態が生じたときは,直ちに必要な措置を講じるとともに,規則で定めるところによりその内容を市長に報告しなければならない。
(1) 発電設備に関する事故若しくは災害が発生し,又は発生するおそれが生じたとき。
(2) 発電設備から公害の原因となる物質が発生し,又は発生するおそれが生じたとき。
2 前項の報告を行った発電事業者は,事故等の拡大及び再発防止のために必要な措置に関する計画を作成し,市長に報告しなければならない。
(勧告)
第17条 市長は,次の各号のいずれかに該当する行為があると認める場合には,発電事業者に対し,速やかに適正な措置を講じるよう勧告することができる。
(1) 対象事業を実施する発電事業者で事業計画(変更事業計画を含む。)を提出しないとき。
(2) 第8条第5項の規定に違反したとき。
(3) 第13条の規定により締結した協定の内容に違反したとき。
(4) 第14条の規定に違反したとき。
(公表)
第18条 市長は,前条に規定する勧告を受けた発電事業者が,正当な理由がなくこれに従わないときは,当該発電事業者の名称及び勧告内容を公表することができる。
2 市長は,前項に規定する公表を行おうとするときは,あらかじめ当該発電事業者に対し,意見を述べる機会を与えなければならない。
2 審議会は,市長の諮問に応じ,対象事業が周辺の温泉資源に及ぼす影響その他の規則で定める事項を調査及び審議するものとする。
(審議会の組織)
第20条 審議会は,会長及び委員で組織する。
2 委員は,次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 地域住民の代表
(3) 温泉井所有者の代表
(4) 市の職員
(5) 前各号に掲げる者のほか,温泉資源の保護及び利用に関係する団体の代表
3 会長は,前項第1号に掲げる者のうちから委員の互選によりこれを定める。
4 会長は,審議会を代表し,会務を総理する。
5 会長に事故があるとき,又は欠けたときは,あらかじめ会長の指名する委員が,その職務を代理する。
(委員の任期)
第21条 委員の任期は4年とし,再任を妨げない。ただし,補欠委員の任期は,前任者の在任期間とする。
(会議)
第22条 審議会の会議(以下「会議」という。)は,会長が招集し,その議長となる。
2 会議は,委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3 会議の議事は,出席委員の過半数で決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。
(関係者の出席等)
第23条 審議会において,必要があると認めたときは,温泉法に基づく申請者その他関係者の出席を求め,意見の聴取又は資料の提出を求めることができる。
(専門部会)
第24条 審議会に,専門的事項を調査するため,専門部会(以下「部会」という。)を置くことができる。
2 部会は,委員のうち,第20条第2項第1号に規定する者をもって組織する。
3 部会に部会長を置き,部会に属する委員の互選によって定める。
4 部会長は,部会の事務を掌理し,部会を代表する。
5 部会長は,専門的事項の調査を終了したときは,その結果を審議会に報告するものとする。この場合において,審議会が特に求めるときは,当該時点における調査の結果を報告するものとする。
(審議会の庶務)
第25条 審議会の庶務は,総務部において処理する。
(その他)
第26条 この条例に定めるもののほか,必要な事項は,規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。
(指宿市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 指宿市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成18年指宿市条例40号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略