指宿_神話紙芝居_父と子と馬
更新日 2020年04月16日父と子と馬
父子して馬ィ何か負せて行たて、帰り道じゃったたっちナ。そしたなら、 「あら、馬を唯、曳かんバ、誰か乗れば良かテー」チ、言たたっちナ。通っ人が。ほしたさけな、 「そんなら、あっこ(吾子)から乗らんか」ちゅて、息子から乗せっさえ、お父さんが曳イじょったたっちナ、馬をナ。
そしたら、 また、こんだ、会うた人が、 「はら、若者が乗っさえ、年ィな者ヌ乗せんじ」チ言たたっチ。〔そしたら〕「んにゃ、まってん、そいじゃ。こんだ、 おっ父ゃんが乗れ」チ、ゆたたっチ。で、こんだ、交代してお父さんが乗っせえ、息子が〔馬を〕曳ィじょったさけな、 「ンダ。馬をもう、一人が乗って、一人歩まんばってん、もう、かねちゃ(かねては)〔重い物でも〕負せおって。もう、 二人とメ乗れば良かテー」チ、ゆたたっちナ。〔途中で〕会うた人が、また〔そんなに〕。そして、「んにゃこりゃ、も、待て。 かねちゃ、負せっ行たたっで、戻イやしゃ(帰りは)、もう、二人とメ乗イが」チ、二人とメ乗ったたっちナ。そしたさけな、 こんだ会うた人が、「ンダ、馬をバ、あエンして、二人とメ乗っせえ、むいなか(かわいそうに)。
行っやしゃ負せっ、 戻ィやしゃ、こうして父子乗っさえ」チ、〔言った〕。「うんにや、こんだ、また、お前と二人で馬を担が!」ちゆっナ、 父子ヨロ、馬を担っ戻ったチ。---も、そん、人の言う事た、何じやっても、本気にしいよったチ、 つまらん無かこっじゃっちゅっせいナ、こうゆう話ヲゆっかせたこっがあっもんナ。
〔話者 木之下 木之下ハツミ(大正六年生)〕