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指宿_神話紙芝居_日当山シュジュ話(1)

更新日 2020年04月16日

日当山シュジュ話(1)

日当山シュジュはナ、殿様のうちによく行って、「殿様、殿様、財産を殿様は沢山もっちょいが、俺にもちっと呉るれば良かとニ」チ、 言うたそうですよネ。

そしたら、「どれぐらい要るか?」チ、殿様が言うたらナ、ま、日当山シェジュが言うにはナ。着物を縫う針の目ですネ。 「針の目から、見っかるだけの財産を呉るれば良かが!」チ。「そしこドマ、心安こっじゃが、シェジェ、何処が良カか?」チ、 殿様が言うたらしいですよネ。そしたところがナ、「殿様は、ほんのこテ、くれきィか?」チ、言もしたチ。「そしこドマ、簡単。どこでもくるっで、 どこを見いか?」ちゅたやナ、

「ほんなら、殿様、衣裳の、着物を縫う針を持ってくるぞ」と〔言うて〕見たらですネ。桜島を見たらしいですョ。 「殿様、桜島を見なさい」と。「あの桜島をくれ。」「そんなものは、くれきらん!!」チ、殿様が言うたチ。〔困ったわけですョ。〕

〔話者 宮之前 新星清光(昭和七年三月生)〕