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働くために来た指宿。退職後もこの場所に残る理由。

塩手雅允(しおてまさちか)さん
出身地:福岡市
移住年:2005年
福岡生まれ。親が転勤族だったため、少年期を福岡や千葉で過ごす。大学では農学部を専攻し、卒業後就職した指宿の企業では植物の栽培などに関わる。退職後も指宿市に定住し農業や農産加工品の製造を行う。また特技のパソコンスキルを生かし、子どもたちへのパソコンやプログラミング学習指導、市民講座の講師として活動する。平成28年から学童がなかった山川小学校区においてボランティアで学童の立ち上げと運営の中心を担い、令和3年4月から指宿市より放課後児童クラブ事業の委託を受け、その運営を行う。妻の弥生さんは大阪出身。子どもは小学生から保育園児まで3人。パソコンだけでなく小学校で必修化となった"プログラミングと論理的思考"を活かして獲得手順を見つけられるクレーンゲームも大得意で攻略本を電子書籍で出版、販売中。

移住のきっかけを教えてください。

大学卒業後、就職したのが指宿の企業でした。もともと都会の空気や人の多さが苦手で、地方に就職しようと決めていました。指宿は海も近く風景が良いし、都会と違い通勤時間がかからないので、時間を有効に使えると思いました。趣味の釣りや観葉植物の栽培ができる環境だったことも理由のひとつでした。
就職先では植物の生産や管理のほか社内事務を担い、その業務を効率的に行うために夜や休日に独学で勉強を続けパソコンスキルを磨きました。5年間勤務したあと、農業に関するスキルを活かした仕事をしたいと考え、退職しました。
結婚を機に平成19年に福元区に移住していました。地域の方々の縁で畑を借りたり、助けてもらったりして、バジルの生産や加工品の製造・販売を始めました。

実際に移住してみてどうでしたか?

まず体の変化としては、10代のころから続いていた片頭痛がなくなりました。毎日飲んでいたアレルギー性鼻炎の薬も飲む必要がなくなりました。
自然も多く、釣りにすぐにいける環境も魅力的でした。道も混まずに自動車の運転も楽でしたね。
それに地域の方が親戚のように接してくれます。結婚後3人の子どもに恵まれたのですが、地域の方にも育ててもらったという印象です。面倒見がいい人が多く、実際に近所の人が子守をしてくれることもよくありました。

指宿の人たちの印象どうですか?

最初は不愛想だけれど話し出すと面倒見がよい人が多い、それが指宿の人の印象です。鹿児島の人は、お酒が強いイメージでしたが、飲み会でもお酒を飲まない男性も多く意外でした。苦労したのは鹿児島の方言がまったく分からなかったことです。「じゃっど」に「てげてげ」など今ではだいぶ分かるようになりました。

子育て環境はどうですか?

子育て支援については、行政だけでなく地域の方のボランティアや手助けをもらっています。保育園の待機児童の問題はありませんし、子どもたちを取り巻く生活環境はとても良いです。子どもたちに対して地域の方が温かく、大きな声を出しても「元気があっていいね」と好意的に受け止めてくれます。また公園や海岸を始め、安心して遊ばせることができる、安全な場所が多いのも魅力的です。
週末は半日仕事をして残りの時間は子どもたちと過ごしています。子どもたちに合わせて、お出かけとか、お菓子作りとか、釣りとか、砂浜遊びとか、子どもに聞いて決めています

現在どのようなお仕事をしていますか?

前の仕事を退職してからまずは土地を借りて農業をはじめました。いくつかの作物を試すなかで、バジルの栽培に力を入れました。指宿の気候で栽培したバジルはとても香りが良かったからです。フレンチシェフの弟にバジルソースのレシピの提供をしてもらい、加工品の販売を始めました。
また地域の方と交流するなかで、自分の特技を生かしパソコン講師やプログラミング指導を始めました。活動を通じて「放課後児童クラブがなくて困っている」という声も聴き、保護者や地域の方と一緒に子どもたちの見守りの場として、公民館に地域住民有志による運営の学童を立ち上げました。
当初ボランティアとしての活動でしたが、学校の統廃合に伴い、新しい小学校内に放課後児童クラブができることになり、令和3年度から指宿市より業務委託を受け、その運営を担います。規模が大きくなることもあり、妻もスタッフとして一緒に働いてくれることになりました。
複数の仕事をしていて「フリーランス」と呼ばれる働き方に近く、最初考えていた仕事と今の仕事は違いますが、人とのつながりのなかで、仕事の幅が広がっていきました。働く時間を自分で調整できるので、忙しいなかでも、釣りに行ったり、子どもと遊んだり、生活を充実させることができます。頼られたり、感謝されたりすることも多く、やりがいを感じます。自分が必要とされているという実感は、お金には代えられない喜びです。
そして小さな頃から娘が仕事を手伝ってくれます。小学生となり今では会社名や名刺のデザインを考えてくれたり、小学生向けのプログラミング学習指導内容についての改善アイディアを出してくれたり、動画編集までしてくれます。自分のような働き方だと、子どもと一緒に仕事ができるのがいいですね。

移住者へのアドバイス

都会と比べて、良くも悪くも人との距離感が近いです。自分のペースを崩さないか、周りに合わせるか、自分の性格にあったやり方で地域との関係を築いてください。困ったときには、助けてくれる人がたくさんいる場所です。一人で悩まずに,気軽に周りに相談してみてください。地域に溶け込むきっかけづくりとして、ボランティア活動などに関わっていくこともおすすめです。